海外のAI情報を、日本語で届けます。 今号は直近2、3週間の主要トピックをまとめてお届けします。

📌 今週の注目ニュース

OpenAI、Soraを終了。次の賭けは「Spud」へ

OpenAIがSora(動画生成AI)の終了を発表しました(3/24)。リリースからわずか6ヶ月。Disneyとの10億ドル提携も白紙に。

ピーク時に日次100万ドルを燃やしていたとのことで、GPUコストが重くて収益化できなかったのが実態の模様。

空いたリソースは次世代モデル「Spud」に全振りする方針で、Altmanは「経済全体を加速させられる」と社内で語ったと報じられています。ここ最近、ショッピング機能の縮小・安全部門の責任者交代と続いていて、IPO(2026年後半予定)に向けて「稼げるもの以外を切る」モードに入ってきたようです。

「Something Big Is Happening」──8000万回読まれたXの投稿

AI起業家のMatt Shumer(HyperWrite CEO)が2月にXに投稿したエッセイが8000万回以上閲覧され、英語圏で大論争になりました。

内容は「コーダーに起きていることが、弁護士・会計士・金融マンにも次々と起きる。今すぐAIを毎日1時間使い始めないと乗り遅れる」というもの。「私はもう自分の仕事の技術的な作業を必要とされていない」という告白が特に拡散しています。

賛否は真っ二つ。「データなき煽り」という批判も多い一方、「でも現場の感覚とは合っている」という声も根強いです。AIが「自分ごと」になってきた人が増えてきた証拠かもしれません。

⚙️ AIエージェント・自動化

OpenClawが、人間の代わりに外部と交渉する時代へ

オープンソースのAIエージェント「OpenClaw」が英語圏コミュニティで話題沸騰中です。あるエンジニアが「ディーラーとの交渉が面倒」という理由でOpenClawに丸投げしたところ、AIが自動でメール送付・返信・価格交渉を完結。電話に出られない言い訳まで自分で考えたとのこと。1週間で60,000スター以上を獲得し、3月時点で25万スターを超えるGitHub史上最速級の成長を記録。

ただ問題も起きています。PythonライブラリのMatplotlibメンテナーがOpenClawエージェントのコードをリジェクトしたところ、エージェントがメンテナーを「差別的なゲートキーパー」と誹謗するブログ記事をGitHub上に自律的に公開。OpenClawを使ったAIエージェント専用SNS「Moltbook」では、150万体とされていたエージェントの実態が17,000人の人間によるbot操作だったことが判明し、データベースも公開状態でAPIキーが丸見えに。

NVIDIAはこうした状況を見越してか、GTC 2026でエンタープライズ向けに安全にOpenClawを使える「NemoClaw」を発表(後述)。「個人の遊び場」から「企業の実務」への移行が現実味を帯びてきた感じがあります。

ClaudeがPCを代わりに操作──Coworkとは何が違う?

AnthropicがClaudeによるPC自律操作機能をリリースしました(3/23)。スマホから指示を送ると、Claudeがデスクトップでアプリを起動・操作して作業を完了させる仕組みです。

Coworkとの違いはざっくりこう整理できます。Cowork(1月リリース)はファイルやドキュメントを扱う「仮想作業スペース」で、サンドボックス内で動くイメージ。今回の「Computer Use」はその外側、実際のデスクトップ画面を直接クリック・操作する機能です。両者をつなぐのが「Dispatch」──スマホから指示を出すと、PCが留守中に作業を進めてくれる仕組みです。

競合ではOpenAIのCodexやPerplexity Computerが同様の機能を持ち、MetaはManus(元中国スタートアップ)を買収して追随している状況。「AIがPCを操作する」市場の競争が一気に本格化してきた感じがあります。現時点ではmacOS限定・研究プレビュー段階とのこと。

🛠 今週試せる1ツール

Wispr Flow|話すだけで文章が完成する音声入力アプリ

「キーボードをやめた人たち」に広まりつつある音声入力アプリです。話した内容をアプリごとに文体を変えて清書してくれます(Slackならカジュアルに、メールならフォーマルに)。

Android版が2月末にリリースされ、100言語以上に対応。タイピング速度の最大4倍で入力できるとのこと。

🤖 LLM・モデル動向

Anthropicの次世代モデル「Claude Mythos」がリーク

Anthropicが訓練中の新モデル「Claude Mythos」の存在が、公開状態になっていたデータキャッシュから発覚しました(3/26)。Fortuneが報じています。

ドラフト文書によると「これまでで最も強力なAI」とされており、コーディング・学術推論・サイバーセキュリティで大幅な性能向上を達成した模様。現在は限定ユーザーにテスト中とのこと。

Anthropic側は存在を認めつつも詳細は非公開。

モデルリリースが「2〜3週間に1本」ペースに

2月だけでClaude Sonnet 4.6(2/17)、Gemini 3.1 Pro(2/19)、GPT-5.4(3/5)、DeepSeek V4(3/3)と主要モデルが連続リリース。

各社のリリースサイクルが月単位から週単位に縮まってきています。「最強モデル」の賞味期限が数週間になりつつあります・・・。

🏢 ビッグテック・業界動向

NVIDIA GTC:「エージェントの時代」を宣言

NVIDIAのGTC 2026は、例年のGPU発表から一転、AIエージェント基盤の発表が主役でした(3/16〜20)。

目玉はエンタープライズ向けエージェント管理プラットフォーム「NemoClaw」。Jensen HuangはOpenClawを「次のChatGPT」と呼び、「すべての企業がOpenClaw戦略を持つ時代が来る」と宣言しています。

ハードよりソフトとエコシステムに軸足を移している印象で、「AIエージェントのインフラ争い」が本格化しています。

AnthropicとOpenAI、相次いでIPOを検討中

AnthropicがIPOを最短2026年10月に検討していると報じられました。複数の投資銀行と初期協議を開始している模様。

OpenAIも年内〜来年初頭のIPOを目指しており、「どちらが先に上場するか」レースが始まっています。Anthropicの直近の年率換算収益は190億ドル規模とのこと。

ヤン・ルカン(Yann LeCun)、MetaのチーフAIサイエンティストを退任し独立

MetaのチーフAIサイエンティストだったヤン・ルカン(Yann LeCun)が独立してAMI Labsを設立、約1500億円(10億ドル超)を調達しました(3月)。ヨーロッパ史上最大のシード調達とのこと。

LLMではなくJEPAアーキテクチャ(世界モデル)で汎用AIを目指す方針で、既存のLLMとは根本的に異なるアプローチを取るとのこと。Bezos Expeditions・NVIDIA・Samsungなどが出資。

来週もまた、世界のAI最前線からお届けします。

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